活動報告:助成事業

避難障害者の生活を再建し、暮らしやすい環境整備を 特定非営利活動法人 コーヒータイム

障害者の社会参加のために、さまざまな生活訓練・職業訓練などの取組みを2006年から福島県浪江町で行ってきたコーヒータイム(NPO法人格の取得は2011年)。震災と原発事故によりその活動を一時ストップしていたが、平成23年10月に二本松市に移転し、同市の市民交流センター1階で就労支援のための喫茶店「コーヒータイム」を再開している。

理事長の橋本由利子さんは、「こころに障害をもつ人たちは、なかなか親元から自立できなかったり、コミュニケ―ションが苦手だったりするが、周りの環境を整えると少しずつでも自立に向かっていける」ので、「コーヒータイムは社会の入り口」でありたいと、その理念を語る。障害者支援の日々の活動は、「いそがず、あせらず、あきらめず」をモットーに取り組んでいるとのこと。

コーヒータイムは、火曜日から土曜日までの週5日のオープンである。コーヒーは香り高く、またその器は地元の大堀相馬焼のコーヒーカップを好みで選べるので好評だ。その喫茶やショップには、近隣の人たちや浪江町からの避難者もよく立ち寄っていただいて、月間の来客数は月間20日余りの営業日数で600名~700名規模とのことである。もうひとつの人気商品は、濃厚な風味が自慢のソフトクリームで、市民交流センターご利用の方々から配達の注文も少なくない。

スタッフの七條さんは、「『ほっとできるね』と声をかけていただくのが、なによりの励みになる」と、笑みを浮かべて話してくれた。

ショップでは、ラスク・クッキーなどのほか、手作りの手工芸品(裂き織のコースターやハワイアンストラップ)、近隣の事業所で作られた製品なども数多く販売している。

金色事務所は、2013年4月から運営を再開している。喫茶・ショップと作業所は、ともに障害者自立支援法に基づく就労継続支援のための施設で、「就労継続支援B型事業所」と呼ばれている。接客対応ができる方は喫茶・ショップで働き、苦手な方は作業所での仕事である。現在の通所者は総勢19名で、その内訳はだいたい喫茶・ショップに5名、作業所10名という状況で、作業の内容は、おしなべて単純作業が多く単価はかなり低廉とのことであるが、なかには作業単価が比較的高い織物を扱っている方も2名いる。

理事長の橋本さんは、通所者の月間工賃をアップさせていきたいとの思いから、2013年度から財団法人「たんぽぽの家」と連携して、作業所で高品質なグッズ(デザイン性に優れるなど)を開発していこうとしている。このことにより、「通所者の自尊心やプライドが高まるのでは」と、橋本さんは期待を寄せている。

原発事故により浪江町から県内各地にバラバラに避難した通所者は、もともと感受性が強く、また震災による環境の変化に十分対応できず不安定な状態にあって、公共交通機関による長距離移動が困難な状況にある。

そこで、二本松市内のコーヒータイムや作業所に安心して通えるように、福島市方面⇔二本松市と、郡山市方面⇔二本松市の、2つの経路での通所支援を行っている。毎日片道だけで100キロの走行である。

この移動支援は、通所者のご家族から「おかげで毎日安心して、子どもを送り出すことができます」との感謝の言葉をいただいているように、通所者やそのご家族の方がたの身体的・経済的負担を軽減することに役立っている。

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